当店で販売しているチャイセットと、ダージリンなどの普通の紅茶を淹れるときに、大きく違う点は、チャイセットは「煮込む」必要がある点です。

普通の紅茶は、ポットに茶葉を入れて、その中にお湯を注ぐだけなのに対し、チャイは、茶葉とスパイスを鍋で数分煮出して、牛乳を足してからも更に軽く煮込みます。つまり、チャイを飲むためには、紅茶よりも何倍も手間がかかるわけですね。

だって、ガスに鍋をかけて煮込む以上、その間はレンジの前にいなくてはならないし、牛乳を入れてからは、牛乳が沸騰してこぼれてしまわないように、火加減を調整しないといけないんですから。

更に、コクを出すために牛乳を煮込むときには、その煮込む時間、火加減の調整などによって、味が微妙に変わってくるので、神経を使います。

こういう一連の工程を「メンドくさい」と感じる方もおられることでしょう。でも、本当においしいコーヒーを飲むためには、まず自分で豆を挽くことからはじめなければならないのと同様に、本当においしいチャイを飲むにも、手間がかかるものなのです。それを惜しむと、決してあの香りと味は得られません。

また、チャイを淹れるのは、単に手間がかかるだけでなく、同時に楽しい作業であることも、経験された方なら分かっていただけると思います。

お湯と牛乳の配分、煮込む時間、砂糖の量の調節など、いろいろ工夫してみることで、技術の進歩が得られます。自分で試行錯誤を繰り返して「これだ！」という味に出来上がったときは、楽しいものですよ。（山内）