コラム26
 
なぜインドでチャイが生まれたのか?

ヨーロッパでミルクティーが飲まれた起源は、17世紀後半にフランスのサバリエール夫人が始めたとされています。

これは、発明というよりは、牧畜の歴史が長く、日常的にミルクやチーズを摂っている人々ですから、「紅茶にミルクを入れてみたら美味しいかも」という発想が生まれるのは自然なことでした。

それではインドで、いわゆるチャイが生まれたのは、どんな背景があったのでしょうか。

ミルクティーとチャイの最大の違いは、ミルクティーが紅茶にミルクを加えるだけなのに対し、チャイは茶葉とミルクを一緒に煮込む点にあります。

インドで紅茶が本格的に出回るようになったのは、中国からの輸入の不安定さに懲りて、自家栽培を志したイギリス人がアッサムに茶園を拓いた19世紀以降のこと。

インドで生産されているとはいえ、元々、イギリスへの輸出用のものなので、上質の紅茶はインド国内には出回りません。そこで、ブロークンリーフやダストなどの細かな茶葉で、よりおいしさを引き出すために考案されたのが、茶葉とミルクを煮込むチャイ(インディアンミルクティー)でした。

そのチャイに、地元で獲れるシナモンやカルダモンなどのスパイスを加えると味、香りともグンと良くなるではありませんか!

また、インドにはヨーロッパと同じように牛などの家畜がたくさんいます。牛は、ミルクを供給してくれるだけでなく、フンが煮炊きの燃料になる非常に重要な家畜で、ちょっと郊外に行けば、フンを壁に貼り付けて干している光景を見ることができます。(ほとんど臭くないんですよ。)

他にも、チャイはカレーなどのスパイスが効いた辛い料理によく合うという点もありました。

紅茶の様々なバリエーションが生まれる背景には、その土地固有の条件と人々のより一層のおいしさを求める心があるんですね。(山内)

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