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日々、仕事をしていてお客さんからたくさんメールをいただきます。注文の他に「オススメの紅茶はどれ?」「カルカッタのチャイ屋さんで一番おいしい店はどこ?」「チャイにも蒸らし時間は必要なの?」などといった質問もあります。 全部に答えられたらいいんですけども、中には答えようもないものもあります。 そんなお客さんとのメールのやり取りの中で、時々「わたしは紅茶が大好きなんだけど、全然詳しくないんです‥‥」というメールをいただくことがあります。 それを読んでちょっと気になるのが、どうも紅茶に関する知識がないことにコンプレックスをお持ちになっているように感じられることです。 当店は、格調高いハイソな高級店ではなくて、サンダルを履いて八百屋に大根を買いに来たついでに気軽に寄れる「街の紅茶屋」でありたいと考えているので、紅茶のことをよく知らなくてももっと堂々としていただけたら嬉しいです。 そして、そこで考えてしまうのが「紅茶の知識はどこまで必要か?」ということです。そもそも何のための知識かといえば、言うまでもなく紅茶を楽しむ、おいしく飲むためのものですよね。 そう考えると、ポットを温めておいたり、水は新鮮なものを沸かし過ぎないとか、季節の紅茶とブレンド茶の違いなど本当に必要な知識はそんなに多くないどころかごくわずかだと思います。 もちろん、細かな点を挙げていけばもっとたくさんの智恵や知識があり、それを知っていればもっと世界が広がるということはあるのでしょう。でも、紅茶関係の仕事をするならともかく、普通に紅茶を飲むだけならそんなに多くの知識は必要ないです。 もちろん強い興味があって、時間をかけていろいろ試行錯誤を通して知識を獲得するのは素晴らしいことだと思います。 今は、秋です。お茶に限らず毎日口にするものは、同じものを同じ風に淹れたとしても、季節や天気、時刻、その日の体調、気分によって感じる味が違います。 おいしい時もあれば「え、こんな味だったっけ」とびっくりする時もあるでしょう。細かな知識にこだわるよりも、日々の生活の中で、そんな違いを愛でることの方が紅茶をより味わえるのではないでしょうか。 |
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