コラム39
 
チャモン茶園の思い出

今回、ようやくダージリンの夏摘みが4茶園そろいました。その4茶園の中にチャモン茶園があります。

僕は去年、縁あってこの茶園とカルカッタにある事務所を訪問させてもらったので、久しぶりにチャモンを仕入れることができてちょっと嬉しいです。
 

チャモン茶園は、ダージリンの街から1時間半くらい山をくだったところにあります。幹線道路からだいぶ離れていて、まわりは茶園以外に人家もまばらな寂しい場所です。

茶園はダージリンの中でも特に平地がない傾斜地ばかりのところで、坂とカーブが連続する道を、副マネージャーさんが見事にハンドルをさばいて案内してくれました。

茶園の人々との交流を楽しみにしていた僕としては、茶摘みをしている女性陣や工場で茶葉を加工している男性陣とも話をする機会が持てなかったので、それが残念だったのですが、その代わりにマネージャーさんたちとウンザリするほど交流しました。

約21時間の滞在時間で、夕方から夕食にかけて、そして翌朝の午前中に合計6時間はみっちりトークをしたでしょうか。(時期が春摘みの収穫の終わりだったせいか、マネージャーさんたちは比較的自由になる時間があったようです。)

初めは妙に空気が固かったのですが、僕がネタとして暖めていた、カルカッタの事務所にいる重役のRさんのカツラを見破ったことを告白すると場がなごんで、あとは日本人は冷たいとか英語がまるで話せないのにわざわざこんな所まで来る気がしれないとか、社交辞令以外のいろいろな話をしてくれました。

特にマネージャーのチョードリーさんは、名門チャモンのマネージャーさんの割には全然気取りがなくて好人物です。

副マネさんに押され気味で、ちょっとダメっぽくて、僕としては親しみが持てる人でした。ダージリンの茶園の中で、チャモンが一番だと力強く断言するプライドはさすがでしたが。

一晩泊まって、翌朝、茶園を発つときにマネージャーさんが「またお出でよ。今度はいつ来る?」と訊いてくれて嬉しかったです。

あの訪問以来、チャモンの名前を聞くと、あのチョードリーさんの顔が心に浮かんできます。
 
 

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