今回、当店に入荷したダージリン夏摘みは、(偶然ですが)4茶園とも無農薬で化学肥料を使わない有機栽培の紅茶です。
ダージリンの茶園では、主にドイツなどのヨーロッパ市場の要求に応える形で、有機栽培に踏み切るところが増えているようです。
日本でも、この頃はスーパーで有機栽培の野菜を見かけるようになりました。有機栽培は、世界的な潮流になりつつあります。
しかし、一口に有機肥料とか無農薬でお茶を作るといっても、それをやるには大変な労力と工夫が必要になります。
インドばかりでなく、かつては日本でも有機農法をやっていました。
何しろ農薬や化学肥料というものが存在しないか、或いは有っても簡単には手に入らない状態だったので選択の余地はありません。
日本の茶園では誘蛾灯を使ったり、害虫の卵やさなぎをみつけ次第、手で駆除したり、石油やタバコや除虫菊を煎じた汁を撒いていたそうです。
しかし、それだけで駆除できる害虫の種類は限られているので、病気や虫にやられて収穫を大きく減らすこともしばしばありました。
農薬も化学肥料も使わないで栽培すると、大体2−3割程度収穫が減ると言われています。
家庭菜園などで野菜を栽培したことがある方なら、なんとなく分かると思うのですが、肥料をやるとやらないのでは、作物の育ち具合が全然違います。特に化学肥料を与えると、効果はバツグンだそうです。
当店の事務所の近くに梨園がたくさんあるんですが、毎年春先になると梨の樹の根元を掘って、バンバンと化学肥料を投入しています。
秋になって、実がはちきれんばかりに丸々としているのを見ると、なるほどと納得する反面、ちょっと不安な気分にもなります。
そんな、作物を大きくしてくれる化学肥料ですが、いくつか問題点もあります。
それは、そればかり使用していると土地が痩せてきて、それ無しでは満足に育たなくなったり、表土が雨で流れてしまったり、病虫害に弱くなることです。
病虫害に弱いと、どうしても農薬に頼らざるを得ません。土が痩せるほど、農薬の量が増えるようです。
多くの場合、無農薬と有機肥料がセットになっているのは、有機肥料で地味を肥えたしっかりしたものにしないと病虫害に強い作物を作ることができないからなんですね。
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